プロジェクトを失敗させないヒント20『ユーザー企業の組織的マネジメント力 1』

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    『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』とは

    『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』とは

    本記事は、プロジェクトを成功させるために必要なノウハウを、数百の支援実績経験をもとに記述した『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』より、 1つずつヒントをご紹介していく企画です。プロジェクトマネジメントについて、何らかの気づきを得るきっかけになれば幸いです。

    当社はプロジェクトマネジメントの知識と経験を有し、皆様のプロジェクトが成功するお手伝いをさせていただいております。 プロジェクトマネジメントに関する疑問や課題がある方、成功への道筋をお探しの方、どうぞお気軽にご連絡ください。
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    ※『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』をPDFまたは電子書籍でダウンロードできます


    個々のマネジャーがプロジェクトマネジメントの能力を高めることは不可欠です。しかし、企業がそのような研修の場を提供するだけで安心しているとしたら、根本的な問題が見えていないと言わざるを得ないでしょう。個人レベルだけでなく、組織としてのプロジェクトマネジメント力も、早急に高めていく必要があります。

    ユーザー企業でシステム開発プロジェクトの数は年々増加しています。一つひとつのプロジェクトの複雑さ、大きさも増しています。ある金融機関の情報システム部では、プロジェクトの数、規模、予算が3年前の2倍になり、その結果、今まで以上にプロジェクトマネジメントを強化しなければならなくなったそうです。プロジェクトマネジメントの研修は以前にも増して需要が多く、単にPMP(プロジェクト・マネジメント・プロフェッショナル)資格を取得するためだけでなく、現場での実践力の向上を主目的としたトレーニングも増えています。

    「組織」としての体質強化を急げ

    ユーザー企業がプロジェクトマネジメントの強化に乗り出している背景には、下記のような問題があります。

    ● 火を噴いてからでないとプロジェクトの問題が明るみに出ない
    ● ベンダーやコンサルティング会社の言うがままになっている
    ● 見積もりの妥当性が不明瞭
    ● 開発ベンダーに聞かないとプロジェクトの状況が分からなくなっている
    ● 自社システム部門はユーザー部門とベンダーの調整役になり切れていない

    これらの問題を解決すべく、システム部門やシステム子会社の人たちはプロジェクトマネジメントのスキルアップに日夜努力されています。しかし、根本的な問題が解決されないまま放置されていないでしょうか。

    それは問題の根源が、個人レベルのプロジェクトマネジメント力にあるのではなく、「企業組織として、個々のプロジェクトにどこまで口を挟むべきか、首をつっこむべきか」という方針が定まっていないことにあるからです。このような問題を抱える企業はかなり多く、結果として「組織的なプロジェクトマネジメント力」の低下につながっています。

    組織的プロジェクトマネジメントの代表例が、実はPMOです。ただし、ユーザー企業として各プロジェクトにPMOを組織し、プロジェクトマネジメントを強化すればよいかというと、それはそれで負荷やコストがかかり過ぎます。一般的にユーザー企業は、複数プロジェクトを扱う「"プログラム"マネジメント」や、企業全体のプロジェクトを扱う「"エンタープライズ"プロジェクトマネジメント」を行えばよいでしょう。

    これまで単体プロジェクトにおけるPMOを主な対象にして話を進めてきましたが、複数プロジェクトにおけるプロジェクトマネジメントやプログラム・マネジメント・オフィスでは、その性格が多少異なります。それぞれのユーザー企業における定義の仕方にもよりますが、一般的には「予算管理」「標準化推進」「火消し部隊」としての役割を担うことが多いようです。

    このような組織は、各プロジェクトの立場から見ると、"お上"のような存在であり、煙たく感じられることが多いようです。実際のところ、ほとんどの企業でうまく機能していません。

    もちろん、予算管理、標準化推進、火消し部隊といった役割をそれなりに果たしているケースはあります。しかし、個々のプロジェクトとうまく連携を取りつつ、プロジェクトにとっても必要とされる存在として認められている組織は、本当に一握りです。